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衛星放送

衛星放送 †

• 地上放送は送信点高度が数100m程度であるのに対して、衛星放送は赤道上空36,000km高度にある放送衛星から電波が来ている。放送衛星1つで日本全国をくまなくカバーされている。
• 日本の放送衛星は、東経110度の赤道上空に位置するので、地上から見て秋分や春分の時期の午後２時頃の太陽の方向と一致する。したがって、衛星を見る仰角は、北海道で約30度、東京で約38度、沖縄で約54度と結構高く、山岳などの地形による影響が少なくなる。
• また、受信用のパラボラアンテナは指向性が鋭いので、周囲のビルなどからの反射によるゴースト影響も受けづらく、良質の映像の受信ができる。
• 衛星放送の音声はPCM方式で、CDと同等以上の音声またはFM放送と同等以上の音声で伝送される。
• 放送衛星から放射された12GHzの電波が受信アンテナに到達するまで、大気や雨域を通過する。電波は周波数が高くなると、大気中の酸素や水蒸気などの影響を受けやすくなるが、12GHz帯では衛星放送電波のように30度から55度程度の仰角で到来する場合、大気による減衰は0.2dB程度で、ほとんど影響を受けない。しかし、VHFやUHF帯ではほとんど問題にならなかった降雨による12GHzの電波の減衰は顕著である。
• 日本列島が北東から南西方向に長いため、軌道位置から日本列島に照射する場合にビーム形成がしやすいという利点がある。

衛星の食 †

　静止衛星軌道上では、地球や月による衛星に太陽光があたらなくなる食が発生する。

　地球による食のときは、太陽光が完全に遮断されるので、太陽電池による発電が不能になってしまい、省電力のバッテリーでは十分な電力を供給できないために、電力の大部分を浪費する衛星中継器の電源を切らなければならない。

　衛星位置をできるだけ西に置くと、食の時間を遅らせる利点があり、その意味では東経110度の軌道位置は望ましいといえる。

　月による食は発生時期が一定ではなく、部分食がほとんどで、継続時間も一定しない。

太陽雑音妨害 †

　太陽雑音妨害とは、地球の受信点から見て、衛星の背後を太陽が通過する際に生じ、太陽の発する強い雑音も一緒に受信され、妨害を与える現象である。

　この現象は、赤道面軌道を回る高度10,400km以上の衛星には必ず発生する現象で、静止衛星軌道を取る衛星はこの現象を回避することができない。