目次 †
鉛の特徴 †
- 本来は白色光沢の金属であるが、表面が酸化されるためくすんだ色（いわゆる鉛色）になる。
- 融点が低い。
- 柔らかい。
- 常温で加工できるため、色々な用途に使われてきた。
- 天然の鉱石としては、方鉛鉱が主で、他に白鉛鉱などがある。
- 地殻での存在量（クラーク数）は重元素の中で第1位である。
- これは鉛より原子番号の大きな元素が原子核崩壊を起こした際に、最終的にはすべて鉛になってしまうからである。
鉛の応用 †
- アンチノック剤
- ガソリンのオクタン価を高めるために四エチル鉛が使用された。
- しかし、現在は環境汚染への懸念により使用されていない。
- 電池
- 鉛蓄電池
- これも環境への懸念により、使用をできるだけ制限しようという動きがある。
- 鉛板
- 鉛は酸に対する耐食性が高いので化学工業に利用される。
- X線やγ線を透過しないので、核シェルターのような防護用板としても利用される。
- 重い元素であるので、遮音・防振材としても用いられる。
- 鉛管
- 給水用配管として古くから使われてきた。
- 鉛の表面に酸化被膜ができ無害と考えられてきたが、分析技術の進歩によって飲料水へ溶出することが明らかになった。そのため、水道への使用は激減している。
- はんだ
- 軸受合金
- 釣りの錘【おもり】
- 煙草
- 煙草の煙に含まれる鉛が脳へ悪影響を与えることが明らかになった。
鉛の毒性 †
- 紀元前から鉛の毒性に付いて注意が払われていた。
- 鉛中毒の初期症状は疲労感・不眠・便秘であり、さらに多くの鉛を摂取することにより、震え・腹痛・貧血・神経症などの症状が現れる。さらに多量の鉛を摂取すると最悪の脳変質症を起こす。また、慢性的な症状として肝臓組織の変質や血液循環系統の機能障害・肝臓硬化症がある。
- 鉛は極めて有毒だが、それにも関わらずに色々な分野で古くから使用されてきているので、その高い有用性が認められているからに他ならない。
- 特に、はんだに含まれる鉛の役割は融点・はんだ付け性・機械的特性・経済性などの点で極めて重要である。しかし、廃棄された電子機器からの鉛の流出による地下水汚染問題により、錫-鉛系はんだの使用が制限されている。現在では鉛を含まない、鉛フリーはんだが使われることも多い。
参考文献 †
