Top / 原子核

原子核

目次 †

原子核と水滴の比較 †

• 原子核は水滴と同様に球形か、とても球形に近い。
• 原子核は陽子と中性子、水滴は分子の集合である。
• 両方ともある一定の限界で飽和するように何らかの力で集合が保たれている。
• 水滴には表面張力*1がある。そこで、「水滴と原子核が似ているなら、原子核にも表面張力があるのではないか」と考えた科学者がいて、実際に計算してみるとピタリと計算が一致したのである。つまり、原子核の安定はこの表面張力によって保たれていると見ることができる。

原子核の性質 †

安定性 †

　原子核には中性子の数から陽子の数を引いた差が小さいほど安定になる性質がある。ところが、陽子の数が大きい原子核では陽子相互の反発をなだめるために、中性子の数が陽子の数よりもずっと大きくならざるえない。すると、原子核の表面もその分大きくなり、原子核は不安定になりヘリウム原子核を出すアルファ崩壊を起こしたり、自発的な核分裂を起こしてしまう。

s過程 †

　星の生成におけるs過程では、原子番号83のビスマスで止まる。

　s過程は重い星の内部で、原子核に中性子を取り込んでより重い元素を作るだ、どんどんプロセスが進むにつれて中性子を吸収してより重い原子核になる前にアルファ崩壊を起こしてしまうのである。よって、中性子の数が増えすぎて原子核が不安定になってしまい、結局ビスマスまでしか作れないというわけである。

r過程 †

　原子番号84のポロニウム以上の元素は天然に存在しているものも、すべて放射性を持つ。つまり、どんどん崩壊して原子番号82の鉛に落ち着く。

　しかも、原子番号92のウランと90のトリウムの一部の同位体を除いたものは、地球の年齢よりもずっと寿命が短いものばかりである。よって、星間雲から誕生した原始地球の中にそれらが含まれていたとしても、今頃にはほとんどすべてが鉛になってしまうはずである。しかし実際にはそうはならず、鉛まで崩壊しておらず、地球上に存在する。

　これは地球が太陽系と共に誕生する以前の超新星爆発に伴うr過程が関係する。r過程により、原子番号83の最後の安定元素であるビスマスから、一気に飛び越えて原子番号が大きく寿命の長いトリウムやウランを合成したのである。

　また、そのときr過程がうまく進行すればウランを超える超ウラン元素が作られる。これは水爆の爆発の際に、中性子がウランに細くされて、超ウラン元素が合成される状況に似ている。

　r過程でトリウムやウランに合成され、それらは徐々にアルファ崩壊やベータ崩壊を起こして、寿命の短い天然の放射性元素が作り出されたのである。

原子核の内部で陽子が結合している理由 †

　陽子はプラスの電気を持ち、中性子は電気を持っていない。原子核では陽子と中性子がバラバラにならずに、ひとつの塊になっている。それは陽子と中性子の間に核力という力が働いているからである。

　核力の性質のひとつとして、陽子だけの場合よりも、陽子と中性子が一緒に集まっている場合の方が力が強い。よって、陽子と中性子がほぼ同数集まっているときは一番強い力が発揮されるので、原子核には陽子と中性子が存在していることになる。ただし、常に陽子と中性子が同数とは限らない。

• 例
  • ウランは陽子が92個、中性子が146個ある。
    • 陽子と中性子が同数のときに核力が最も大きく働くのだが、同時に陽子同士の電気的な反発力も強まり、それを抑えるために中性子の数が増えるのだと考えられる。
    • 実際に、ウランよりも重い原子は自然界に存在しない。

参考文献 †

• 『図解雑学　量子力学』
  • 『元素はすべて元祖です』