ATP †
- ＝アデノシン三リン酸
- アデニンとリボースの化合物アデノシンに、リン酸が3つ繋がっている。
- ATPはあらゆる細胞が活動するために不可欠な高エネルギーの化合物。
- 三大栄養素からATPができるときに、熱が発生する。
- 熱力学第一法則より、エネルギーのすべてがATPに受け渡されるわけではなく、約半分は熱として拡散する。
- ATPでエネルギーが貯蔵されているのは、リン酸同士が結合している部分である。
- 一番外側のリン酸の結合が1つ切れると、7.3[kcal/mol]*1*2のエネルギーが発生する。
- リン酸が1つ外れた結果がADP、2つ外れた結果がAMPである。
[例]ATPはC10H16N5O13P3であるため、分子量は次のように計算できる。
（∵原子量はそれぞれC=12,H=1,N=14,O=16,P=31）
よって、ATPの分子量は507である。
また、成人女性が1日に必要なエネルギー量は約2,000[kcal]である。
ゆえに、（変換効率を無視すると）ATPを約140[kg]も作る必要がある。
![\frac{2000~\[kcal\]}{7.3~\[kcal\]}~\times~507~\[g\]=138904~\[g\]~=138.904~\[kg\]](./main/mimetex/mimetex.cgi?\frac{2000~\[kcal\]}{7.3~\[kcal\]}~\times~507~\[g\]=138904~\[g\]~=138.904~\[kg\])
◇
- ATPは必要なエネルギーを供給する物質だから、エネルギー通貨とも呼ばれる。
- ただし、細胞間での貸し借りはできず、貯蔵もできない。そこで、血液中のグルコースが少なくなったときのために、グリコーゲンという塊にして肝臓に保存している*3。
ATPを生み出す仕組み †
ATPは次の3つのステージを経て作られる。
| ステージ名 | 産生されるATP分子数 |
| 解糖系 | 2分子 |
| クエン酸回路 | 2分子 |
| 電子伝達系 | 34分子 |
解糖系 †
- 舞台は細胞質基質。
- 細胞に届いたグルコースは、細胞質基質でピルビン酸に分解される。このときにATPが2分子できる。
- 解糖系は原始的なエネルギー生産経路であり、酸素を必要としない。
- C6H12O6*4→2C3H4O3*5+4H
クエン酸回路 †
- ATP作りの本番。
- 舞台はミトコンドリア。
- ミトコンドリア内のマトリックスという部分にピルビン酸が入ると、アセチルCoA【コーエー】という物質ができる。
- アセチルCoAはクエン酸回路の回転の赤で完全に分解され、二酸化炭素が生まれる。
- これがヒトが普段口から吐き出している二酸化炭素である。
- このとき、ATPが2分子作られる。
- 2C3H4O3*6+6H2O→6CO2+20H
電子伝達系 †
- ATPの大量生産のステージ。
- 舞台はミトコンドリアの内膜である。
- これまでのATP産生の過程で水素原子ができているので、電子伝達系ではこの水素原子をミトコンドリアの内膜に送りだす。
- 電子伝達系で作られるATPは34分子。
- 24H＋6O2→12H2O
参考文献 †
